北海道河東郡音更町緑陽台仲区11-2 TEL 0155-31-7200
北海道河東郡音更町緑陽台仲区11-2
TEL 0155-31-7200
今回は、虫歯予防の要ともいえる「フッ素」について、患者さんからよく聞かれる疑問にお答えする形でお話ししたいと思います。
皆さんが普段使っている歯磨き粉。パッケージをよく見ると「フッ素配合」と書かれていることに気づいた方も多いのではないでしょうか。実はこの“フッ素”こそ、毎日のケアで歯を守るための非常に大切な成分です。
フッ素とは何か?どんな働きがある?
フッ素は、自然界に存在する元素のひとつで、私たちが食品や水からも微量ながら摂取しているものです。歯科医療の現場では、フッ素を含む製品が虫歯予防に広く活用されています。
では、なぜフッ素が歯に良いのでしょうか?
理由は大きく3つあります。
1. 再石灰化の促進
虫歯は、歯の表面が酸によって少しずつ溶けていく病気です。フッ素は、溶けかけた歯の表層を修復し、元に戻す「再石灰化」を促してくれます。
2. 虫歯菌の働きを抑える
フッ素は、虫歯の原因となるミュータンス菌などの活動を弱め、酸の産生を抑える効果があります。
3. 歯質の強化
フッ素が歯に取り込まれると、エナメル質の表面が「フルオロアパタイト」というより酸に強いものに変わります。これにより、歯が溶けにくくなり、虫歯になりにくい状態がつくられます。
正しい使い方が予防効果を高める
フッ素入りの歯磨き粉を使えばOK…と思いがちですが、ちょっとした使い方の工夫で、効果はさらに高まります。
フッ素濃度を確認しましょう
日本で市販されている歯磨き粉のフッ素濃度は、一般的には900~1,450ppmのようです。成人の方にはこの上限に近いものがおすすめです。小さなお子さまの場合は年齢に応じた適切な濃度の製品を選びましょう。
使用量は年齢に応じて
目安として、3歳未満は“米粒大”、3~6歳は“グリーンピース大”、6歳以上は“歯ブラシ全体に軽く乗せる程度(最大で20mmくらい)”が理想です。
すすぎは控えめに
フッ素の効果をしっかり歯に残すには、歯みがき後のすすぎを1回に留める、あるいは少量の水でゆすぐだけにするのがおすすめです。特に寝る前の歯磨き後は、口の中にフッ素が留まりやすいため、予防効果が高まります。
歯科医院での高濃度フッ素ケア
家庭でのケアに加えて、歯科医院で行うプロのフッ素塗布も非常に効果的です。こちらで使用するフッ素は9,000ppmと高濃度で、特に虫歯のリスクが高い方や、お子さまの歯の生え変わり期におすすめしています。
基本的には3ヶ月に1回の塗布が目安ですが、口腔内の状態に応じて回数やタイミングを調整します。ご不安な方はお気軽にご相談ください。
フッ素は本当に安全?
「フッ素って体に悪いのでは?」というご質問を受けることもあります。確かに、極端な過剰摂取は歯に白い斑点が出る「歯のフッ素症(斑状歯)」などを引き起こす可能性があります。
ただ、適正な量・濃度を守って使えば、フッ素は非常に安全で効果的な成分です。世界保健機関(WHO)や国際歯科連盟(FDI)も、日常的な使用におけるフッ素の安全性を支持しています。
まとめ
フッ素は小さな分子ながら大きな力を持つ、信頼できる虫歯予防の味方です。毎日の歯磨きに上手に取り入れながら、必要に応じて歯科医院でのケアも活用することで、大切な歯をしっかり守っていきましょう。