緑陽台歯科診療所

最近、歯磨き剤の代わりに重曹を使うという「重曹磨き」が話題になった事があります。

今回はこの「重曹磨き」についてのお話です。
結論を先に言えば、重曹で磨くより、歯磨き剤を使う事をお勧めします。

そもそも重曹とは何？

重曹はお料理やお掃除に使用されるもので、炭酸水素ナトリウムという物質です。
研磨剤として大きな効果を持つため、これを使ったお掃除テクニックなども見かけますね。

歯磨きに使う場合も、この研磨剤としての性質が効果を発揮すると言われています。

歯は白くなる？

重曹に漂白効果は無いと言われています。
汚れが原因で歯が白くない場合は白くなりますが、着色が原因の場合は色はそのままでしょう。

アルカリ性が良いと聞いたんだけど？

歯磨きに重曹を使うとお口の中がアルカリ性になると言われています。
ですが、アルカリ性になる事が良い訳ではありません。
アルカリ性に傾き過ぎると粘膜が傷つく事もあるため、注意が必要です。

■重曹磨きの問題

重曹磨きでは、自分で調合して作っているようです。
この場合、調合具合により濃度の濃い重曹を使ってしまい、メリットよりもデメリットが目立つようになります。
わざわざ自分で歯磨き剤を作るため、特に効果を高くしたいという意識も働いて、濃い目にしてしまう知れません。

知覚過敏

研磨剤としての効果が効きすぎると、歯の表面が削れてしまいます。
歯茎との境目付近はエナメル質も薄く、ここが削れると知覚過敏を起こしやすくなります。
市販の歯磨き剤は効果と副作用のバランスを考えて成分を配合していますが、自分でやると効果だけを狙いがちになるので、危険です。

口内炎

アルカリ性が強すぎると、粘膜への悪影響が大きくなり、口内炎を誘発することがあります。

塩分過多

実は重曹を口に入れると、塩分が吸収されると言われています。
飲み込まなくても、粘膜から吸収されるのです。
この結果、塩分摂取量が増えてしまい、様々な病気に繋がる危険が増えます。

■結論

重曹磨きは、市販の歯磨き剤の性能に満足できない方が、より強力な効果を期待して行っているようです。
ですが、強力な効果には、大きな反作用（副作用）があります。
また、分量や作成方法を間違えると、より危険なものが出来上がります。

市販の歯磨き剤にも成分に重曹を含むものがあります。
そのすべてがお勧めできるものかどうかは個人差もあると思いますので、一律に「オススメ／お勧めできない」とは言い切れませんが、自分で調合するよりは安全でしょう。

一般の方の口腔ケアには、歯磨き専用に調合されている市販の歯磨き剤を使用することが、安全性の面からもお勧めです。